死亡退職金と相続税の関係、知っていますか?

相続手続き

こんな疑問はありませんか?

「退職金は会社からもらうものだから、相続税とは関係ないのでは?」

そう思われている方は少なくありません。しかし実は、亡くなった方に支払われるはずだった退職金――いわゆる「死亡退職金」には、相続税がかかる場合があります。

今回は、この死亡退職金と相続税の関係について、できるだけわかりやすく解説していきます。

■ 死亡退職金とは

死亡退職金とは、在職中に亡くなった方に代わって、ご遺族が受け取る退職金のことです。

多くの会社では、退職金規程の中で「死亡退職金は遺族に支払う」といった定めがあります。この場合、死亡退職金は亡くなった方の遺産ではなく、受け取る遺族固有の権利として支払われるのが一般的です。

そのため、遺産分割協議の対象にはならず、規程で定められた受取人(通常は配偶者や子など)が直接受け取ることになります。

■ なぜ相続税がかかるのか(みなし相続財産)

「遺産分割の対象にならないなら、相続税もかからないのでは?」と思われるかもしれません。

しかしここがポイントです。民法上は遺産に含まれなくても、税法上は取り扱いが異なります。死亡退職金は「みなし相続財産」として、相続税の課税対象に含まれます。

これは、死亡保険金と同じ考え方です。「亡くなったことがきっかけで、遺族がまとまったお金を受け取る」という経済的な実質に着目して、相続税の課税対象とされているのです。

■非課税枠がある

とはいえ、受け取った金額すべてに相続税がかかるわけではありません。死亡退職金には、次の非課税枠が設けられています。

非課税限度額 = 500万円 × 法定相続人の数

例えば、法定相続人が3人(配偶者と子2人など)であれば、500万円 × 3人 = 1,500万円まで非課税ということになります。この非課税枠を超えた部分だけが、相続税の課税対象になります。

■ 対象になるのは「死亡後3年以内に支給が確定したもの」

もう一つ、押さえておきたいポイントがあります。

相続税の対象となる死亡退職金は、死亡後3年以内に支給額が確定したものに限られます。会社の手続きの都合などで支給の確定が3年を超えてしまった場合は、相続税ではなく、受け取った遺族の一時所得として所得税の対象になります。

多くのケースでは死亡後それほど時間をおかずに支給が確定しますので、通常は相続税の対象になるとお考えください。

■ 死亡保険金との違い・弔慰金との違い

死亡保険金との違い

死亡保険金にも「500万円×法定相続人の数」の非課税枠がありますが、これは死亡退職金の非課税枠とは別枠で計算します。両方受け取った場合は、それぞれの非課税枠を適用できるということです。

弔慰金との違い

会社から「弔慰金」として金銭が支払われることもあります。弔慰金は本来お悔やみの意味合いのものなので、原則として相続税はかかりません。ただし、社会通念上不相応に高額な場合には、実質的に退職金の性質を持つとみなされ、その超過部分が死亡退職金として課税対象になることがあります。金額の妥当性には注意が必要です。

■具体例で計算してみよう

ここで簡単なケースを見てみましょう。

ケース
・亡くなったのは夫
・相続人は妻と子2人の合計3人
・死亡退職金として2,000万円を受け取った

非課税限度額

500万円 × 3人 = 1,500万円

課税対象額

2,000万円 - 1,500万円 = 500万円

このケースでは、2,000万円のうち500万円だけが相続税の課税対象財産に加算されることになります(他の遺産と合算して相続税額を計算します)。

■まとめ

  • 死亡退職金は遺産分割の対象にはならないが、相続税の「みなし相続財産」にはなる
  • 「500万円×法定相続人の数」の非課税枠がある
  • 死亡後3年以内に支給が確定したものが対象
  • 死亡保険金とは別枠、弔慰金は原則非課税だが高額な場合は要注意

死亡退職金は非課税枠があるとはいえ、他の遺産と合わせるとご家庭ごとに税額の計算は変わってきます。「私の場合はどうなるのだろう?」と思われた方は、お気軽に当事務所までご相談ください。

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